
お料理研究家の土井善晴先生は「家庭料理は一汁一菜でよい」ことを提唱しています。ある雑誌に食育についての記事が掲載されていましたので引用します。
料理はその背景に多くの物語があります。季節や食材のこと、作った人のぬくもりや思いなど・・ところが出来合いのものには、あまり物語がありません。だから出来合いのものが食卓の中心になると、食に対する想像力が育ちにくくなるのです。
お母さんやおばあちゃん、あるいはお父さんでもいい、家族が丁寧に作った料理を毎日食べる、その経験が子供の食の基本を作ります。それが食育というものではないでしょうか。
ご飯を作ることを軽視していませんか?知育教育などお勉強や習いごとに忙しく、夕食は軽食、例えばコンビニのおにぎりで空腹を抑え、帰宅したらあわてて用意した冷凍食品やレトルトのおかずで済ませるご家庭は少なくないようです。
反対に、見栄えよくお料理を作らなければ、3品はそろえなくては、一日30品目だったなど、献立に悩む親御さんも多いようです。あげくに3品そろえるために出来合いのものを買ってくる。
とても偏っているように思いますが、いかがでしょうか。自然療法の大家である東城百合子さんは
きちんと家庭で作ったご飯を食べて育った子供は非行に走りません。たとえ少し道を踏み外しても戻ってきます
とおっしゃっています。簡単でいいので、ぜひ、毎日、ご飯を炊いて具たくさんの味噌汁やスープを用意してください。野菜と海藻(乾物を使うと便利)をベースに、豆腐・油揚げ・鳥もも肉・豚バラなどのタンパク質を。たった30分程度で片付けまでできるはず。ご飯は白米でなく、雑穀をいれると栄養価もばっちり。次の日の朝に温め直して食べてもいいのです。SNSにかけている時間をこちらに少しだけシフトしてみてはどうでしょうか。それだけの価値があると私は信じています。
そして、「もっとご馳走が食べたい!」と言われたら、家庭料理とはそもそも簡素なものであること、世界にはたくさん飢餓で苦しんでいる子供がいること等、話をしてみてください。私の場合「贅沢をいうのは自分で稼いでからにしなさい」「文句があるなら自分で作りなさい」とはっきり伝えました。そんなことを言っても聞き入れないという話を聞きますが、親の信念というのは伝わるはずです。なんとなくではなく、心から自分が大事であると思うことは、自信をもって伝えていいのです。
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